小学校5年生の算数では、いよいよ中学受験に向けての土台となる学習が本格化してきます。分数や小数の計算はもちろん、「割合」「単位量あたり」「速さ」など、抽象的な概念を扱う単元が増えてきます。これらは子どもによって理解に差が出やすく、「苦手意識を持つきっかけ」となることも少なくありません。
そこで今回は、5年生で学ぶ算数の主な単元とそれぞれのつまずきポイント、家庭でできるサポート方法を、保護者目線で整理しました。お子さんがどこでつまずきやすいか、どのようにサポートすれば良いかを一緒に確認していきましょう。
5年生で学ぶ算数の全体像
学習の中心は「割合」と「単位量あたり」
5年生では、単なる計算から一歩進んで、「量と量の関係性」を扱う内容が増えてきます。特に「割合」や「単位量あたりの大きさ」は、6年生や中学数学へとつながる重要な単元です。
「割合」は、もとの量との比較で成り立つ考え方。例えば「100円のものが20%引き」と聞いて、その意味を正しく理解し、計算できることが求められます。
一方、「単位量あたりの大きさ」は、比の考え方に直結するため、理屈を理解していないと、ただの暗記になってしまうことがあります。
計算は「分数と小数の混合」が増加
4年生までに学んだ「分数」や「小数」は、5年生でさらに応用されます。特に「分数同士のかけ算・わり算」「小数を含む文章題」などが出てくると、計算力と読解力の両方が必要になります。
分母・分子を逆にしてしまう、通分を忘れる、小数点の位置を間違えるなど、注意すべきポイントが急増します。
図形や面積、体積も発展
5年生では、「直方体」「立方体」などの立体図形の体積が登場します。公式だけを覚えるのではなく、面積との関係や具体的な立体のイメージを持つことが重要です。
また、6年生では「図形の移動」「比を使った面積」など、さらに複雑な内容に発展するため、5年生での理解が土台となります。
割合:つまずきやすさナンバーワン
言葉と意味が直感に反する
「割合」の問題は、子どもにとって「言葉の意味がわかりにくい」と感じるようです。「どちらがもとになるのか」がわからなくなるという声も多く聞きます。
例えば「AはBの1.2倍」と言われたとき、どちらが基準の「もと」なのかを誤ってしまうと、答えが真逆になります。
具体的に比べる体験が有効
「割合」が理解できないときは、ペットボトルの容量や、価格表示の割引ラベルなど、日常の中の割合に注目してみることが有効です。同じ飲み物でも内容量と価格を比べて「どちらが安いか」などを一緒に考えることで、「もとになる量」の感覚が身につきやすくなります。
他のご家庭の声
SNSやブログを見ていると、あるご家庭では、割引計算の練習をお小遣いで実践し、「買い物を通じて割合が好きになった」という声もありました。生活の中で練習すると、より自分ごととして理解が進むように見えました。
分数と小数:抽象的な数字の扱いが壁に
分数のかけ算・わり算は「意味不明」になりがち
分数どうしの計算、とくに「わり算」になると、ルールが機械的に感じられてしまい、なぜそうするのかがわからないまま進んでしまう子もいます。
「÷を×にして、後ろをひっくり返す」とだけ覚えてしまうと、応用問題に歯が立たなくなる傾向があります。
小数×小数で戸惑う子も
たとえば「1.2×0.5」など、一見して意味のわからない計算に対して、「なぜ答えが小さくなるのか」が理解できないという声もあります。
この段階では、「量のイメージ」が鍵になります。ものさしや水の量など、具体物で考える練習が効果的です。
図形・体積:空間認識力と数のつながり
面積と体積の関係を視覚化
「面積」は2次元、「体積」は3次元という違いは、図で見せないと実感が難しいところです。特に「底面積×高さ」という公式が出てくると、形のイメージと数値のつながりがピンとこない場合があります。
実際に箱を使って、高さごとに中身の量を比較するような体験が有効です。
他のご家庭の声
SNSやブログを見ていると、「牛乳パックを使って直方体や立方体の模型を作り、どれくらい水が入るか調べたことで、体積の感覚がついた」という話もありました。
グラフ・平均・速さ:情報処理力が問われる
グラフや表の読解
表やグラフは、5年生で一気に読み取りの複雑さが増します。特に「2つの項目を比較する」「変化の傾向を見る」といった読み解きは、国語的な力も関係してきます。
平均と単位量の混同
「平均を求める式」と「単位量あたりの考え方」を混同する子も多いです。数式だけを覚えさせるのではなく、なぜそうなるかを図や言葉で説明する練習が大切です。
中学受験につながる意識と準備
受験問題でよく出る単元は?
中学受験において、5年生で学ぶ内容の中で特に頻出なのは、「割合」「速さ」「立体図形の体積」「場合の数」などです。
受験に向けては、「分かる」から「解ける」へと意識を変えることが必要です。
家庭でできる工夫
- 図で考える習慣をつける
- 計算だけでなく説明できるかを確認する
- 同じ問題を繰り返し解いて定着を図る
こうした工夫が、「なんとなくわかっている」から「自信をもって答えられる」へと成長する助けになります。
まとめ
5年生で学ぶ算数は、中学受験の基礎となる非常に重要な内容ばかりです。抽象的な概念も多く、つまずきやすい子どもも少なくありませんが、身近な体験と結びつけて学ぶことで、理解は飛躍的に進みます。
「理解しているつもり」を避け、具体例を使って深く考える経験を増やすことが、算数に強くなる一歩です。保護者として、一緒に考える時間を大切にすることが、子どもの算数力を支える最大の力になるのではないでしょうか。