小学生の「算数×英語」完全ガイド|単語・表現・発音・家庭での取り入れ方

算数の言葉を英語でも言い換えられると、思考の切り替えがスムーズになり、文章題の読解や図形の説明が自分の言葉で整理しやすくなると感じます。中学受験を見据えるなら、いまのうちに基礎の用語・短い表現・正しい発音を、家庭で1日5〜10分だけ積み上げるのが現実的だと思います。本稿では、小学生向けに「算数×英語」の始め方・覚え方・続け方をまとめました。無料の工夫でも十分に回りますし、必要に応じてワークやカード、アプリを足す形で設計していきます。


中学受験における「算数を英語で学ぶ」メリット・デメリット

メリット:言い換えで思考が整理されることがある

日本語と英語で同じ概念を二重に表現すると、式に直す前の要点抽出が滑らかになる場合があります。例えば「合計=total」「差=difference」と語を固定しておくと、数量の関係を短く言い切れます。説明を英語で一文にまとめる練習は、筋道立てて話す力の下支えになり得ます。ただしこれは個人差が大きく、すべての子どもに当てはまるわけではありません。

メリット:図形・単位の語彙が説明力を補うことがある

「triangle/rectangle/angle」「centimeter/liter」などの基本語彙は、図や単位の説明にラベルとして役立ちます。言葉が短いぶん、口頭での指示やメモが簡潔になります。さらに「per(〜あたり)」のような語が入ると、割合・速さの式づくりがイメージしやすくなります。とはいえ、英語語彙そのものが得点源になるわけではない点は押さえておきたいです。

デメリット:出題形式との非一致と負荷増

中学受験の算数は日本語の記述・日本語の図表が標準で、英語での運用は直接の配点に結びつきません。英語表現を挟むと、作業工程が増えて処理速度が落ちる恐れがあります。用語の表記ゆれ(borrow/regroup 等)や、海外流の手順と国内ワークの違いが混乱を招くこともあります。限られた時間で成果を最大化する観点では、追加負荷になりがちです。

結論と使い分け:万人向けではないが、語彙の「薄く広く」は損にならない

総合すると、受験対策としての純粋なメリットは大きくありません。ただし、英語も重視したいご家庭なら、「plus/minus/times」「total/difference」「ratio/percent」などの短い単語や言い回しを覚える程度なら学習の邪魔になりにくいと思います。本記事の以降パート(メリットや手法の紹介)は、あえて英語で算数を取り入れたい方向けの内容で、万人への一律推奨ではありません。基本線は日本語で理解を固める、興味と余力がある場合のみ英語語彙を薄く重ねる、という使い分けをおすすめします。

なぜ「算数×英語」なのか:思考と言語の二重回路

算数語彙を英語で持つメリット

日本語と英語で二重に概念をタグ付けできると、数や図形の抽象化が進みやすいです。例えば「たす=plus」「ひく=minus」を並べるだけでも演算の方向がはっきりします。言い換えの幅が増えることで、説明するときの筋道が自然と整うと感じます。

中学受験の国語・算数への波及

文章題は「状況→数量→式」の変換が肝心で、英語に言い換える過程が要点抽出の練習になります。主語・動詞・目的語を意識して整理する癖は、国語の要約にも効きます。結果として、線分図・数直線に落とす前の「頭の中の整頓」が速くなります。

始める時期と前提

低学年は数詞・記号・形短い口慣らしからで十分です。まずは日本語で意味が定着していることを前提に、1語=1動作(指でたす、ひく、かける)を合わせます。完璧な発音より、一定のリズムで繰り返す方が定着します。

5分から始める家庭導入

朝や帰宅直後にミニ・ルーティンとして、5語×3回だけ声に出します。宿題の丸つけ時に1問だけ英語で説明してもらうのも有効です。できたら即小さな称賛、続いたら週単位で見える化して、自信の貯金を作ります。


小学生がまず覚えたい算数学習の英語表現

数・記号の基本

「number(数)」「digit(けた)」「even/odd(偶数・奇数)」など基礎語を先に押さえます。演算は「plus/minus/times/divided by/equals」を口で言える速さにします。記号は言葉で読む習慣をつけると、式読み上げが滑らかです。

計算と手順の言い方

「carry(くり上がり)」「borrow(くり下がり)」「estimate(見積もり)」「round(四捨五入)」は使用頻度が高い語です。手順を1文で言う練習(例:First, くり上がり one. Then, 足す)を固定します。語順の型が身につくと、ミスの説明も短く正確になります。

図形と単位

「triangle/square/rectangle/circle」「angle/vertex/side」は図形言語の土台です。単位は「centimeter/meter/liter/milliliter/gram」を略さず音で覚えるのが大切。単位の複数形(sの有無)を意識すると、数量感覚が安定します。

文章題で役立つ表現

「total(合計)」「difference(差)」「left(のこり)」「each(それぞれ)」「altogether(全部で)」「per(あたり)」を使い回します。数量語+名詞の並び(three apples)と、比較の型(more than/less than)を繰り返します。図→英語→式の順で説明すると、思考がぶれにくいです。


家庭での実践:ワークとゲームで定着

音と口を育てる発音ドリル

英語は口の形とリズムで覚えると忘れにくいです。1語ごとに3拍子で手を叩き、強く読む位置を体で刻みます。日本語の後追いではなく、英語だけで3回→日本語1回の順にすると、英語の音像が立ちます。

バイリンガル計算ノートの作り方

見開き左に日本語、右に英語で同じ問題の式と説明を書きます。色で役割分担(日本語=黒、英語=青、単位=緑)を決めると視覚的に整います。1日1ページでも続けば、家庭ポートフォリオになります。

文章題の英語化テンプレ

「合計」「差」「1あたり」「のこり」などを固定フレーズで言い換えます。例:We have 3 apples each. How many apples altogether? のように、短くて式に直せる英文を好みます。絵や線分図を添えて、言葉⇄図を往復させます。

誤りやすいポイントと直し方

「of/for/by」の前置詞で引っかかることが多いです。単位の複数形序数(1st, 2nd)小数点の読みなど、チェックリスト化して丸つけ時に確認します。間違いは英語で1行だけコメントして、翌日ミニ追試に回します。


学年別の伸ばし方とつまずき対策

低学年(1–2年):数と操作の言語化

数詞・記号・形の名前とたし算・ひき算の音に集中します。指やブロックで「plus」「minus」を動作と同時に言うと覚えやすいです。1日5語ルールで負荷を軽く保ちます。

中学年(3–4年):単位・小数・分数を英語で

長さ・重さ・かさの単位を英語で読み、小数・分数の読み上げを練習します。「one and two tenths」「three fifths」など型で覚えると応用が利きます。換算表に英語ラベルを貼るだけでも効果的です。

高学年(5–6年):割合・比・速さの英語表現

「ratio」「rate」「percent」「speed」「distance」「time」を式と一緒に声に出します。比の読み方(A to B)や「per」を使う速さの言い方を固定。グラフ説明を英語で一文にする練習が、記述型に効きます。

保護者の関わり方:評価より記録

家庭では正誤の評価より、言えた表現の記録を大切にします。できた表現を見える化して、週末に振り返ります。短い賞賛次の小さな目標をセットにして、習慣化を優先します。


素材・ツール選び(無料/有料の使い分け)

教科書準拠ワークの見方

今使っている算数ワークに、英語ラベルだけを小さく書き添えます。過度な先取りは避け、いま学ぶ単元の語だけに限定。家庭の負担が増えない範囲で続けるのがコツです。

フラッシュカードと辞書活用

自作カードは、表に英語、裏に日本語・例文・図を置くと回しやすいです。オンライン辞書は発音音声例文を参考にし、広告や表記ゆれに注意します。

動画・アプリの注意点

動画は短尺・反復型を好み、字幕オン→オフで段階的に負荷を上げます。アプリは広告表示・誤認識・表記の一貫性を確認し、週単位の継続率で判断します。家庭の端末ルール(時間・場所)も最初に決めます。

家での評価とポートフォリオ

ノート・カード・音読録音月ごとにファイルします。できるようになった英語表現リストを増やし、苦手語の再テストを週末に回します。成長の見える化が、次の学習意欲を支えます。


まとめ

「算数×英語」は、成績を上げる魔法ではなく、考えを短く・正確に言い表す練習だと思います。数・記号・手順・単位・図形・文章題小さく英語化して、毎日5〜10分の音・口・手で積み上げる。正誤の評価より、言えた表現の記録を残し、翌日のミニ追試で定着を測る。派手な先取りより、静かな継続が結局いちばん強い——これが家庭で回すコツだと考えます。

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