小学1年生の算数が始まると、意外と早い段階で「計算の練習って、家でどれくらいやればいいんだろう」と迷いが出ます。学校の宿題だけで足りるのか、追加でプリントやドリルをやった方がいいのか。そもそも今の時期に足し算なのか引き算なのか、繰り上がりはまだ早いのか……。周りの話を聞くほど焦ってしまい、気づけば「量を増やす」方向に気持ちが寄ってしまうこともあります。
でも、1年生の計算は「たくさん解けばそのうち速くなる」だけで乗り切れるほど単純でもありません。もちろん、繰り返しの練習は必要です。ただし、その前に整えておきたいことがあります。たとえば「どこまでが今の範囲なのか」「子どもに合う練習の形はどれか」「遅い・できないの原因はどこにありそうか」。ここが曖昧なまま量だけ増えると、疲れや嫌悪感が先に積み上がってしまうことがあります。
この記事では、小学1年生の計算(足し算・引き算)の練習を、家庭で「迷わず選べる」ように整理します。無料プリントやドリル、計算カード、100マス計算、さくらんぼ計算など、方法はいろいろありますが、どれも万能ではありません。大切なのは、子どもの状況に合わせて「範囲×難易度×教材の形」を選び直せることです。読み終えたときに、「うちの場合はまずここから」と方針が決まり、今日から回せる小さなメニューが作れる状態を目指します。
1年生の計算は「どこまで」を押さえると迷いが減る
足し算・引き算でも「10まで」「20まで」で難しさが変わる
1年生の計算と言っても、全部が同じ難しさではありません。足し算でも、まずは「10まで」の範囲で数の合成(たとえば3と7で10)を扱い、その後「20まで」に広がっていく、という流れが多いです。引き算も同じで、10までの範囲と20までの範囲では、子どもの負担感が変わります。
家庭で問題を選ぶときは、「足し算」「引き算」という大きなくくりだけでなく、どの範囲の数字を扱っているかを見てあげると、急に選びやすくなります。たとえば入学直後は、数字の読み書きや数え方がまだ安定していない子もいます。その状態でいきなり20までの混合問題を増やすと、計算以前に「読み違い・書き違い」でつまずいてしまいます。
「いまの範囲で正確にできる」を先に作ると、そのあと範囲を広げたときに崩れにくくなります。焦るほど、まず範囲を小さく区切って確認する方が、結果的に近道になりやすいです。
繰り上がり・繰り下がりは「計算」より「10の感覚」が鍵になる
繰り上がりの足し算(たとえば8+7)や、繰り下がりの引き算(たとえば12-8)は、1年生の中でも「急に難しくなった」と感じやすいポイントです。ここで多いのは、計算手順が分からないというよりも、10を基準に数を分けたり足したりする感覚がまだ固まりきっていないケースです。
この段階で大切なのは、やみくもに問題数を増やすことではなく、10を作る動きが自然にできるかを確認することです。8に2を足すと10になり、残りは5だから15、といった発想が出てくるかどうか。ここが曖昧なままだと、繰り上がりのたびに頭の中が混線してしまい、スピードも正確性も上がりにくくなります。
繰り上がり・繰り下がりは「10を使って整理する力」が土台になります。後の学年で出てくる繰り返し計算や暗算にもつながる部分なので、ここだけは丁寧に整えておきたいところです。
「先取りするならどこまで?」は「安全な線引き」を作る
家庭学習では、少し先取りをしたくなることもあります。ただ、1年生の計算は「早く進めること」がそのまま得になるとは限りません。理由は、計算の力が「理解」と「定着」で別物だからです。プリントを解けても、数日後に同じ種類の問題で崩れるなら、まだ土台が薄い可能性があります。
先取りの線引きとしておすすめなのは、「今の範囲でミスが減ってきた」「説明させても筋が通る」「同じ種類を日をまたいでも解ける」の3点です。ここが揃っていれば、少しだけ先の範囲に触れても混乱しにくくなります。逆に、ミスが多いのに先へ進むと、穴が増えやすいです。
先取りは「進度」ではなく「安定度」で決めると、親子ともに気持ちが荒れにくくなります。学期や学校の進み方は学校ごとに差があるので、「うちの子にとっての安全ライン」を作るのが現実的です。
プリント・ドリルで計算練習を回すときの選び方
「量を増やす前に」問題の粒度をそろえる
プリントやドリルの良さは、同じ種類を繰り返せることです。ただし、ここでよくあるのが、いろいろな種類が混ざりすぎていて、子どもが何を練習しているのか分からなくなるパターンです。足し算と引き算が混ざり、さらに繰り上がりが混ざり、文章題まで混ざる。すると、うまくいかない原因が見えなくなります。
家庭学習の最初は、「今日は10までの足し算だけ」「次は20までの引き算だけ」というふうに粒度をそろえた方が、上達が見えやすいです。うまくいかなかったときも、「範囲が難しいのか」「繰り上がりが苦手なのか」「数字の読み書きでつまずいているのか」が判断しやすくなります。
粒度がそろうと、褒めるポイントも具体的になるのが大きいです。「前より速いね」より、「10までの足し算、繰り返したらミスが減ったね」と言えると、子どもも手応えを持ちやすくなります。
無料プリントを使うなら「印刷できない日」の代替も用意する
無料プリントは、手軽に量を確保できるのが魅力です。一方で、プリンターの調子が悪い日、紙が切れた日、外出先の日など、うまく回らない日も出てきます。そのときに「今日はできないね」で終わると、せっかくの習慣が途切れてしまいます。
そこで、あらかじめ代替手段を決めておくと安心です。たとえば、教科書の計算練習を短くやる、ノートに親が5問だけ書く、計算カードを回す、アプリで5分だけやる、など。何でもいいのですが、「できない日でもゼロにしない仕組み」を作っておくのがコツです。
続けるためには「完璧な教材」より「回る仕組み」が大切です。印刷に頼りすぎず、複数の手段を小さく持つと、家庭学習が安定します。
市販ドリルは「復習のしやすさ」で選ぶ
市販ドリルを選ぶとき、ページ数や問題数に目が行きがちですが、1年生の計算では「復習のしやすさ」がとても重要です。間違えた問題に戻りやすいか、同じ種類の練習がまとまっているか、答え合わせがスムーズか。こうした点が整っていると、親の負担が減り、結果的に継続しやすくなります。
また、1年生の学習は「今日できた」より「数日後もできる」を増やすことが大切です。そのためには、同じ形式を少し間隔を空けて繰り返す設計が向いています。ドリルの構成がバラバラだと、復習の道筋が作りにくくなります。
ドリル選びは「子どもの学力」より「家庭で回るか」を基準にすると失敗が減ります。忙しい家庭ほど、手間が少ない設計のほうが成果につながりやすいです。
計算カード・100マス・さくらんぼ計算をどう使い分ける?
計算カードは「速さ」より「毎日の基準作り」に向く
計算カードは、学校で配られて宿題になっている家庭も多いと思います。タイムを測る指示があると、「遅いのでは」と不安になることもありますが、家庭では「比較のためのタイム」にしない方が安心です。カードの強みは、毎日少しずつ回しやすいことと、反復しやすいことです。
使い方のコツは、最初から全部を完璧にやろうとしないことです。たとえば1日5枚だけ、間違えたカードだけもう一回、というように小さく始められます。カードの内容も、10までの足し算、20までの足し算、引き算と段階があることが多いので、今の範囲に合わせて回すと混乱しにくいです。
計算カードは「速さの競争」ではなく「日々の安定の道具」として扱うと、親子関係を荒らしにくく、結果としてタイムも自然に縮まりやすいです。もし紛失した場合は、まず学校の指示(担任の先生への確認)を優先し、必要なら購入などの手順を踏むのが安心です。
100マス計算は「正確性→速度」の順で段階を作る
100マス計算は、ゲーム感覚でスピードが上がりやすい反面、最初から時間だけを目標にすると、雑になってミスが増えることがあります。1年生は特に、正確性が安定しない状態でスピードを求めると、本人の自信が削れやすいです。
おすすめは段階をはっきり分けることです。第1段階は、時間を測らずに正確に解く。第2段階は、同じ形式を繰り返してミスが減ったら、軽く時間を測る。第3段階で、本人の過去記録と比べて少しずつ短縮を目指す。こうすると、早さの数字が「責める材料」ではなく「成長の記録」になります。
100マスは「短い時間×高い頻度」で回すほうが効果が出やすいです。毎日10分が難しければ、週に数回でも構いません。大切なのは、やり方が子どもの負担になりすぎないことです。
さくらんぼ計算は「できる・できない」より「何のため?」を先に
さくらんぼ計算は、地域や教科書によって扱いが違うことがありますが、目的は共通していて「10を作る」感覚を育てることにあります。8+7を、8+2+5のように分けて考えられるようになると、繰り上がりが一気に見通しやすくなります。
ただ、形だけを真似しようとすると、本人は「分けて、足して、また足して……」と手順が増えたように感じて嫌がることがあります。そういうときは、さくらんぼ計算に固執するよりも、「10を作る」「足りない分を補う」という考え方だけを使い、別のやり方(指を使う、ブロックを使う、数直線を使う)で理解を支える方がうまくいくこともあります。
さくらんぼ計算は「型」ではなく「10の感覚を作る道具」だと捉えると、家庭でも扱いやすくなります。プリントにするときも、いきなり複雑な分解を求めず、10になる組み合わせから段階を作るのが安心です。
計算が遅い・できないと感じたときの見立てと立て直し
「遅い」は4種類に分けると、やることが見えてくる
「計算が遅い」と感じるとき、原因は一つではありません。よくあるのは、①数字の読み書きで止まる、②手順は分かっているが10の合成分解が不安定、③途中でミスして戻りが多い、④集中が続かず手が止まる、というタイプです。同じ「遅い」でも、対処が違います。
たとえば①なら、計算練習を増やすより、数字を書く練習や、問題文の見方(行をそろえる、指で追う)を整えるほうが効きます。②なら、10の作り方を丁寧に。③なら、途中式の見直しや指差し確認。④なら、時間を短く区切って成功体験を作る。こうして分類すると、「量を増やすだけ」で悪化するケースを避けやすくなります。
遅さは「能力」ではなく「どこで止まっているか」で見ると、家庭での手当てが具体的になります。まずは1回分の様子を観察し、どのタイプに近いかを見立てることから始めるのが安全です。
ミスが多いときは「繰り上がり・繰り下がり」より前を確認する
ミスが多いと、つい繰り上がりや繰り下がりの難しさに注目しがちです。でも実際には、その前段階のところでミスが起きていることがあります。たとえば、数字の書き間違い、+と-の見落とし、同じ段の数字を取り違える、といったミスです。こうしたミスは、理解の問題というより、作業の整え方の問題であることもあります。
家庭での工夫としては、問題を解く前に「足し算?引き算?」だけ言わせる、行に色の下線を引く、解いたら指でなぞって確認する、などの「手順の固定」が役立ちます。特に1年生は、ルールがあるほうが安心して進める子も多いです。
ミス対策は「勉強量」より「作業のルール化」で改善することがあります。叱るより、やり方を一緒に決めるほうが、本人の気持ちも安定しやすいです。
家庭で教えるときは「説明」より「問いの置き方」を変える
計算がうまくいかないと、保護者はつい説明を増やしたくなります。でも1年生は、長い説明を聞くほど集中が切れることもあります。そこでおすすめなのが、説明を短くして「問い」を置くことです。
たとえば繰り上がりの足し算なら、「10になるように分けるなら、いくつ足す?」と聞く。引き算なら、「10から引く?20から引く?」と土台を確認する。間違えたときも、「どこで変になった?」ではなく、「足し算と引き算、どっちだった?」のように、答えやすい問いから入ると会話が荒れにくいです。
教えるより「自分で気づける問い」を増やすと、親子の負担が軽くなり、学習が続きやすくなります。どうしても家庭で回しにくい場合は、学校の先生に相談して進度や宿題の意図を確認するのも一つの方法です。
演習は必要。ただし「短く・毎日・同じ型」で回すと続く
ここまで整理してきた通り、1年生の計算は整え方が大切です。ただ、それでも最後は「繰り返し」で定着する部分があります。この記事を読んで理解が進んでも、計算の安定は練習なしでは作りにくいのが現実です。
続けるコツは、時間を短くし、同じ型で回すことです。たとえば「計算カード5枚+プリント5問」など、10分以内で終わるセットを固定する。週末にまとめて長時間やるより、短時間を高頻度で回したほうが、1年生には合いやすいことが多いです。
なお、足し算のつまずきが気になる家庭向けに、原因の見立てと立て直しを整理した記事があります。今回の記事は「計算練習の選び方」が主ですが、つまずきの整理を深めたい場合に役立ちます。
小学1年生の足し算が不安なときに読む話|つまずきの理由と家庭での立て直し方を整理
https://chugakujuken-zero-shop.pal-fp.com/math-calculations/1nensei-tashizan-fuan-tsumazuki-naoshi/
また、1年生算数全体の中で計算がどこに位置づくかを確認したいときは、全体像の記事があると安心です。計算以外(図形・時計・文章題など)の影響で、計算が不安定に見える場合もあります。
小1の算数が気になるときに読む「1年算数」全体像|つまずきやすい所と家庭での整え方
https://chugakujuken-zero-shop.pal-fp.com/elementary-math/1nen-sansuu-zenntai-tsumazuki-katei/
練習は「増やす」より「回る形」にする。それだけで、家庭学習は続きやすくなります。
まとめ
小学1年生の計算練習は、方法が多いからこそ迷いやすいですが、整理してしまえば方針は作れます。まずは「どこまで(10まで・20まで・繰り上がり等)」の範囲を押さえ、問題の粒度をそろえて練習する。プリントやドリルは、回しやすさと復習のしやすさを基準に選ぶ。計算カードや100マスは、速さの競争にせず、日々の安定や成長の記録として使う。さくらんぼ計算は形にこだわらず、10の感覚を育てる道具として扱う。こうした見直しができると、量だけを増やして疲れてしまうリスクを減らせます。
そして、遅い・できないと感じたときは、原因を一つに決めつけず、「どこで止まっているか」を見立てることが大切です。数字の読み書き、10の感覚、ミスの種類、集中の続き方。ここを分けて見れば、家庭でできる手当ては意外と具体的になります。最後はやはり定着のための演習が必要ですが、短く・毎日・同じ型で回すと続けやすいです。今日から無理なく回せる形を、家庭のペースで作っていけると安心です。
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