分数の計算に入った途端、急に手が止まる子は少なくない気がします。とくに通分は「なんとなく手順は知っているけど、なぜそうするのかが分からない」状態になりやすい単元だと思います。家庭で見ていると、計算ミスというより、分母をそろえる意味が腹落ちしていないことが原因になっていることも多いです。ここでは、通分の意味から、最小公倍数の使いどころ、たし算・ひき算につなげるコツまで、親子で確認しやすい形でまとめます。
通分の意味:なぜ分母をそろえる必要があるの?
分母は「1をいくつに分けたか」を表す
分数は、同じ1でも「何等分したか」で1つ分の大きさが変わります。たとえば1/2と1/3は、1つ分のサイズが違うので、そのまま足し引きするとズレが起きます。通分は、比べるための物差しをそろえる作業だと考えると分かりやすいと思います。
通分は「同じ大きさの分数」に作り直すこと
通分は、分数の値を変えずに、分母を同じ数にそろえることです。見た目は変わっても、表している量は同じです。ここを理解していると、途中で数が大きくなっても不安になりにくいと思います。
たし算・ひき算で必要、かけ算・わり算では原則不要
通分が特に必要なのは、分数のたし算・ひき算です。理由は、足したり引いたりするのは「同じ単位のもの同士」だからです。一方で、分数のかけ算・わり算は単位をそろえる発想ではないので、通分しないのが基本になります。
図で納得すると強い:ピザより「数直線」もおすすめ
ピザの絵は分かりやすい反面、量が増えるとごちゃつきやすいです。家庭では数直線(0〜1の間を等分する)で、1/2と1/3がどこにあるかを見ると、比較の感覚が作りやすいと思います。視覚で納得できると、手順暗記から抜け出しやすいです。
通分のやり方:最小公倍数を軸に「ムダを減らす」
基本手順:分母の最小公倍数を見つける
通分は、分母を同じ数にするので、分母の倍数を候補にします。いちばん小さい共通の倍数が最小公倍数で、ここを使うと計算が膨らみにくいです。最小公倍数がすぐ出ないときは、倍数を小さい順に書き出す方法でも十分だと思います。
最小公倍数が出たら、分母を合わせて分子も同じ倍率で変える
分母だけを変えると値が変わってしまうので、分子も同じ倍率で掛けます。ここは毎回、上も下も同じ数を掛けると声に出して確認すると、ケアレスミスが減ります。慣れるまでは、掛けた数を分数の横に小さくメモしておくと安心です。
分母が倍数関係なら一発で決まる
たとえば分母が4と12のように倍数関係なら、最小公倍数は大きい方(12)です。こういうときは、通分がぐっと簡単になります。倍数関係を見抜くには、九九やかけ算の感覚が大事で、ここが弱いと通分が苦しくなりがちです。
かけ算が弱いと通分が止まる:土台の整え方
通分は「倍数」「公倍数」を扱うので、かけ算の理解があいまいだと、最小公倍数でつまずきやすいです。家庭でやり直すなら、九九の暗唱だけでなく、○の段は○ずつ増えるという増え方の感覚を取り戻すのが近道だと思います。かけ算の土台の整え方は、こちらの記事が参考になります。
小学3年生のかけ算を家庭で強くする完全ガイド|九九の再設計から筆算・文章題・わり算接続まで
通分と約分の関係:セットで覚えるとミスが減る
通分で数が大きくなるのは普通:最後に約分で整える
通分すると分母も分子も大きくなることがありますが、それ自体は自然な流れです。大切なのは、最後に約分できるかどうかです。答えを見やすい形に整えることで、採点でも有利になります。
先に約分できるなら、通分前に小さくしておく
たとえば 6/8 と 9/12 のように、すでに約分できる分数が混じっている場合があります。先に約分しておくと、最小公倍数が小さくなり、計算がラクになります。中学受験ではこの一手間が効くことが多い気がします。
公約数が見つからない子は「割れるかチェック」をルール化する
約分が苦手な子は、何で割れるかを探すのが負担になりがちです。家庭では、2・3・5の順に割れるかチェックするなど、手順を固定すると安定します。約分の具体的なコツは、こちらに詳しくまとまっています。
算数の約分を家庭でやり直す|公約数の見つけ方・コツ・分数計算での使いどころ(中学受験にも)
最小公倍数と公約数の混同が多い:言葉の整理が先
最小公倍数は分母をそろえるため、公約数は小さくするために使います。目的が逆なので、ここが混ざると通分も約分も崩れます。家庭では、そろえる=公倍数、小さくする=公約数と短い合言葉にしておくと覚えやすいと思います。
分数のたし算・ひき算:通分の「使いどころ」を具体化する
基本形:通分してから分子だけ足す・引く
分母がそろったら、分子だけを足したり引いたりします。分母まで足してしまうミスは定番なので、家庭では「分母は名前、分子は数」くらいの言い方で区別してもよいと思います。最後に約分できるかも忘れずに見ます。
帯分数・仮分数が混じるときは先に形をそろえる
帯分数が混ざると、通分の前に計算が散らかりやすいです。まず仮分数に直してから通分するか、整数部分と分数部分に分けて計算するか、子どもが安定する方で統一すると良いと思います。途中でやり方を変えると、ミスが増えやすいです。
通分後の引き算は「借りる」場面が出る:整数の引き算に戻す
分数の引き算では、分子が小さくて引けない場面が出ます。そのときは、整数の引き算と同じように「借りる」考え方が必要です。分母を1つ分借りて分子に足す、という操作が分かると、引き算の苦手意識が減ると思います。
よくあるミス集:家庭で直しやすい順に
ミスが多いのは、(1)分母も足す、(2)分子だけ倍率を掛ける、(3)最小公倍数を間違える、(4)約分し忘れる、の順に多い印象です。家庭では、答えが合わないときにやり直すのではなく、途中の分母が同じになっているか、倍率が上も下も同じかをチェックする習慣をつけると効率が良いと思います。
家庭学習の進め方:プリント練習より先に「理解の筋」を作る
いきなり大量演習より、同じ型を短時間で回す
通分は、理解が薄いまま問題数を増やすと、作業になってしまいがちです。まずは分母が小さい組み合わせで、最小公倍数→倍率→分子計算→約分の流れを短く回す方が、定着しやすいと思います。家庭では1日10分でも十分効果が出やすい分野です。
声かけは「何倍した?」が最強
親が教え込もうとすると、子どもが黙ってしまうこともあります。通分では、答えを言うより「何倍した?」「上も同じ倍?」と質問する方が、自分で気づけるケースが多いです。特に分子だけ掛けてしまうミスに効きます。
最小公倍数が苦手なら、倍数表を作って見える化する
最小公倍数の見つけ方は、人によって合う方法が違う気がします。暗算が苦手なら、倍数を縦に書き出して線を引く方法でもOKです。慣れてきたら、倍数関係(片方がもう片方で割り切れる)を見抜けるようになると、スピードも上がります。
中学受験につなげるなら「計算の整理」を一段上げる
中学受験では、分数が複数出てきたり、途中で約分を挟む問題も増えます。そこで効くのは、通分の知識よりも、計算を整理する力だと思います。分母をそろえる前に約分できるところはないか、式を見やすくできないか、という視点を持てると強いです。
まとめ
通分は、分数の大きさを比べたり、たし算・ひき算をするために、分母という物差しをそろえる作業です。基本は分母の最小公倍数を見つけ、分母を合わせる倍率で分子も同じように変えます。通分で数が大きくなるのは自然で、最後に約分で整えるとミスが減ります。家庭では、何倍したかを言葉にする確認、倍数表での見える化、かけ算の土台の点検が効果的だと思います。
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