図形の単元に入ると、算数の雰囲気が少し変わります。数を数える・計算するだけではなく、図を見て「何を求めたいのか」を自分で決め、そこから式を選ぶ必要が出てくるからです。公式を覚えたはずなのに点につながらない、家で説明しようとしても言葉が出てこない……そんな状態は、できないというより「整理の軸」がまだ固まっていないだけ、ということも多いと感じます。
図形公式でよく起きるつまずきは、暗記量の不足よりも「使いどころの混線」です。たとえば面積の公式が複数あるのは、図形が違うからというより、求めたい量(広さ)の形が違うから。周の長さと面積を混同するのも、計算のミスというより、見ている量が途中で入れ替わってしまうからです。この記事では、家庭で整理しやすい順番で、公式そのものよりも「公式を選ぶ前に決めること」を中心にまとめます。最後に、練習を重ねないと安定しにくい場面にも自然に触れます。
図形公式の前に「何の量か」をそろえる
長さ・面積・体積は、まったく別のものとして扱う
図形の公式で最初にそろえたいのは、「いま何を求めているのか」です。ここが曖昧だと、式は立てられても、答えの意味がふわっとしてミスが増えます。家庭学習では、まず「長さ(周りの長さ)」「面積(広さ)」「体積(かさ)」を完全に別物として扱うのが出発点になります。長さは1本の線の合計、面積は面を埋める量、体積は空間を満たす量。言い換えると、見ている対象が「線・面・立体」で切り替わります。
つまずきやすいのは、同じ図形でも「周の長さ」と「面積」の両方を扱うからです。たとえば長方形。周の長さは辺を足す、面積は縦×横。どちらも数字は同じ辺から取りますが、求めている量は別です。ここが混ざると、「縦+横」を面積のつもりで書いてしまったり、「縦×横」を周の長さのつもりで使ってしまったりします。放置すると、図形が難しくなったとき(複合図形、単位換算、図形の移動)に、どこで間違えたか自分で戻れなくなりがちです。
判断のコツは、式を書く前に「答えの単位」を先に言ってしまうことです。cmなのか、cm2なのか、cm3なのか。単位が先に決まると、選ぶ公式の候補が一気に絞れます。家庭では「答えは何の単位になりそう?」と聞くだけでも、頭の切り替えが起きやすくなります。
「図形の名前」ではなく「求めたい形」に注目する
公式を覚えるとき、図形の名前にひもづけてしまうことがあります。「三角形だから底辺×高さ÷2」「平行四辺形だから底辺×高さ」などです。もちろん間違いではありませんが、実際の問題では、図形がそのまま出てくるとは限りません。斜めになっていたり、重なっていたり、補助線を引かないと見えなかったりします。ここで必要なのは、図形名の暗記よりも「どの部分を四角形や三角形として見立てるか」という見方です。
たとえば台形の面積。上底+下底×高さ÷2の形ですが、これは「台形を長方形と三角形に分けたらどうなるか」という考え方とつながっています。円の面積も、いきなり式を当てはめるより「半径を使って広がりを測る」と理解しておくほうが、直径と半径の取り違えを防ぎやすいです。どんな学習状況で起きやすいかというと、公式を一気に覚えた後、問題演習に入ったタイミングです。覚えた直後は書けるのに、少し形が変わると迷いが出ます。
保護者が判断する視点としては、子どもが「この図は何に分けられる?」と考えられているか、または「この部分は三角形だ」と言語化できているか、です。言えないときは理解不足ではなく、視点が固定されているだけかもしれません。ここをほどく声かけがあると、公式が「使える道具」になりやすくなります。
公式が増える時期ほど「言葉→図→式」の順に戻る
図形の公式は、一定の学年を越えると一気に増えます。増えるほど、頭の中は「どれだっけ?」になりがちです。そんなときに助けになるのが、言葉→図→式の順に戻ることです。問題文を読んだら、まず「何を求める?」を言葉で確認し、次に図にその量がどこにあるかを示し、最後に式を選びます。いきなり式を探し始めると、似ている公式に吸い寄せられます。
放置した場合に起こりやすいのは、テスト中に「それっぽい式」を置いてしまう癖です。図形問題は部分点が入りにくいこともあり、本人は頑張っているのに点が伸びない、というストレスにつながります。家庭では「いま求めたいのは線?面?立体?」と短く確認するだけで、軌道修正できることがあります。ここで大事なのは、間違いを責めるより「手順が飛んだだけ」と捉える姿勢です。
この章のまとめとして、公式の前にそろえることは3つです。「何の量か」「どこを測るか」「単位は何か」。この3つが揃うと、図形公式は暗記競争ではなく、落ち着いて選ぶものに変わっていきます。
よく使う図形公式を「使い分けの形」で整理する
面積の基本は「長方形→三角形→台形→円」の流れ
面積の公式を整理するときは、学年順というより「見立ての順」で並べると理解が残りやすいです。基準は長方形です。長方形の面積(縦×横)は、面積の感覚の出発点になります。ここから、三角形は「長方形の半分」、平行四辺形は「長方形にずらしただけ」、台形は「長方形と三角形の合体」、というふうに関係で覚えると、暗記の負担が軽くなります。
特に三角形の「÷2」は、ただの約束ではなく「同じ底辺と高さの長方形の半分」です。ここが腑に落ちると、複合図形で三角形を見つけたときに迷いが減ります。台形の「(上底+下底)×高さ÷2」も、見方としては「上下を足して平均の幅を作る」と捉えると、式の意味が見えます。円は少し性質が違い、半径を使う点が特徴です。直径と半径の取り違えは、公式暗記ではなく図の読み取りの問題なので、「半径は中心からの線」と図で確認するほうが効きます。
面積単元をより深く整理したい場合は、面積の公式と単位換算、複合図形の分け方まで一続きで見直せる記事もあります。今のつまずきが「公式」なのか「図の分け方」なのかを切り分けるのに役立つはずです。
算数の「面積」を家庭で伸ばす完全ガイド——公式・単位換算・複合図形・面積比まで一気通貫
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周の長さは「足す」だけなのにミスが増える理由
周の長さは、基本的には辺を全部足すだけです。それでもミスが増えやすいのは、「足す対象」を取り違えやすいからです。図形が複雑になると、同じ辺を二重に数えたり、見えない辺を足し忘れたりします。円が入ると、さらに混乱が増えます。円周(円周率×直径、または2×円周率×半径)は、足し算ではなく「円の周りの長さそのもの」を求める式ですが、他の辺と合体すると、足すべきものが増えて頭が散らばりがちです。
どんな学習状況で起きやすいかというと、作図や展開図ではなく、文章題や図の説明が多い問題です。「周りの長さ」「まわりの長さ」「ひもの長さ」など、言い方が変わると、面積を求める問題と混ざってしまうことがあります。放置すると、「周」と書いてあるのに面積を出してしまう、あるいはその逆が起きます。
家庭での判断軸としておすすめなのは、式を書く前に「周りを指でなぞる」ことです。実際に指でなぞり、どこを足すかを視覚的に固定すると、足し忘れ・足し過ぎが減ります。円があるときは「ここは直線じゃないね。円の部分は円周(または一部)だね」と言葉にして分けると、式が自然に2段になります。
体積の公式は「底面積×高さ」で統一して覚える
体積は、長方体・立方体の単元で出てきますが、本質は「底面積×高さ」です。長方体の体積が縦×横×高さになるのは、底面積(縦×横)に高さをかけているからです。立方体も同様で、1辺×1辺が底面積、そこに高さ(同じ1辺)をかけています。ここを統一して覚えると、学年が上がって柱体・角柱などに広がったときにもつながります。
つまずきやすいのは、面積(cm2)と体積(cm3)の単位の切り替えです。特に、計算は合っているのに単位が違う、という失点は起きやすいです。どんな状況で起きるかというと、途中で底面積を求めてから体積に進む問題です。途中式が「cm2」なのに、最終答えに「cm2」のまま書いてしまう、という形です。
保護者が確認しやすい視点は、「途中で一度、面積が出ているか」です。底面積を出しているなら、その時点の単位はcm2。最後に高さをかけたらcm3。ここを声に出して言うだけでも、単位ミスが減ることがあります。体積は演習量が必要な単元でもあるので、理解が揃ったら短時間でも繰り返し確認する流れに乗せると安定しやすいです。
公式を「当てはめ」で終わらせない家庭のチェックポイント
底辺と高さは「直角」で決まる:傾いて見えるときの見抜き方
面積の公式で最も多い混乱の一つが、底辺と高さの取り方です。特に平行四辺形や三角形が傾いていると、見た目の縦っぽい辺を高さだと思ってしまうことがあります。高さは「底辺に垂直な長さ」です。ここが揃わないまま計算すると、公式は正しくても答えがズレます。これは計算力の問題ではなく、図の読み取りの問題です。
どんな学習状況で起きやすいかというと、定規で測る問題や、図の中に高さが線で書かれていない問題です。高さが点線で示されていれば分かるのに、自分で見つける必要があると途端に迷います。放置すると「斜めの辺=高さ」という誤解が固定され、台形や複合図形でも同じ誤りが広がりやすいです。
家庭での声かけは、「底辺はどれにする?」「高さは底辺に直角だよね?」の2つで十分です。さらに、直角記号(小さな四角)を図の中で探す、または自分で書き足す習慣があると、判断が安定します。公式は覚えているのに点が伸びないときほど、ここを丁寧に見直す価値があります。
単位換算と小数・分数が混ざるときは「式の前に整える」
図形公式が苦手に見えるケースでも、実は単位換算や小数・分数計算がボトルネックになっていることがあります。たとえば、長さがmとcmで混ざっている、半径が小数、面積がcm2で問われている、などです。式の形は分かっていても、数の扱いで詰まると、図形そのものが嫌になりがちです。
この状況は、学年が上がるほど起きやすいです。特に「単位をそろえる」作業は地味で、テストでは時間も取られます。放置すると、公式の理解以前に「面倒だから適当に進める」流れができ、ミスが増えます。ここで家庭ができる整理は、式の前に一度、与えられた情報を同じ単位に揃えることです。これは勉強の才能というより作業の型です。
おすすめの確認は、「いま全部cmにした?」「面積ならcm2だよね?」という「単位だけ」に焦点を当てた質問です。計算の中身まで口を出すと負担が増えますが、単位の整えだけなら短く介入できます。単位換算が安定すると、図形公式の成功体験も増え、図形への抵抗感が下がりやすいです。
途中式の書き方で差が出る:見直しができる形に残す
図形問題は、答えだけを見ると合っているか間違っているかしか分かりません。だからこそ、途中式の残し方が大切です。途中式が残っていないと、間違えたときに「どこでズレたか」が分からず、やり直しが感覚になります。特に複合図形では、分けた図形ごとに面積を出して足す、という流れが多く、途中式がないと自分で自分を助けられません。
どんな状況で起きやすいかというと、ノートのスペースが足りない、あるいは急いでいるときです。計算欄がぎゅうぎゅうだと、数字が重なり、足したのか引いたのかも見えなくなります。放置すると、図形の問題=運だと感じるようになり、避けがちになります。
家庭で整えるなら、「図形を分けたら、式も分ける」が基本です。たとえば「①長方形の面積」「②三角形の面積」「③合計」のように番号を振るだけでも、見直しがしやすくなります。さらに「単位も一緒に書く」と、周の長さと面積の取り違えが減ります。ここまで整えてもミスが残る場合は、演習量が不足している可能性があるので、短時間でも繰り返す設計にするのが自然です。
つまずきを早めに見つける「5つの判断軸」
①答えの単位を先に決める
公式選びの最短ルートは、答えの単位を先に決めることです。cmなのか、cm2なのか、cm3なのか。これだけで、候補が絞れます。特に文章題では「面積」「周り」「かさ」などの言葉が出てきますが、言葉だけだと混乱することがあります。単位はブレにくいので、判断軸として強いです。単位が決まらないなら、量が決まっていないというサインでもあります。
起きやすい状況は、問題文が長いときや、最後の問いだけを急いで読んだときです。単位を飛ばして式に入ると、途中で迷いが出ます。家庭では「答えの単位は何?」を最初の1問だけ徹底するだけでも、手順が体に入りやすいです。
②図の中で「使う長さ」に印をつける
図形公式のミスは、式の形より「どの長さを使うか」で起きることが多いです。底辺、高さ、半径、直径、辺の長さ。これらを図の中で取り違えると、公式が合っていても答えが違います。そこで有効なのが、図に印をつけることです。線をなぞる、丸で囲む、矢印で示す。見た目が少し汚くなっても、判断の誤差が減るなら価値があります。
放置すると、見た目で決める癖がつきます。特に高さは「縦っぽいから」では決まらないので、印をつける習慣がないとズレやすいです。保護者は「使うのはこの長さで合ってる?」と、図を指さして確認するだけで十分です。
③「半分」「平均」「同じ」を見つけて公式の意味に戻る
公式が思い出せないとき、丸暗記で引っ張るより意味に戻るほうが速い場面があります。三角形の面積は長方形の半分。台形は上と下の平均の幅。平行四辺形はずらして長方形。こうした「半分」「平均」「同じ」を見つけると、式の形が思い出しやすくなります。これは理解が深い子だけの技ではなく、誰でも使える戻り道です。
どんな状況で役立つかというと、テスト中に公式が飛んだときです。焦るほど暗記は出てきませんが、意味は残っていることがあります。家庭学習では、答え合わせのときに「この÷2は何の半分?」と1回だけ聞くと、公式が記号から意味に戻りやすいです。ここで「分かったつもり」を言葉に直す経験が、次の定着を助けます。
④複合図形は「分ける前に、何を足すか引くか」を決める
複合図形は、分け方がいくつもあります。だからこそ迷います。迷いを減らすには、分ける前に「足すのか引くのか」を決めることです。大きい形から小さい形を引くのか、いくつかの形を足して作るのか。ここが先に決まると、分け方が自然に決まっていきます。分け方だけを探すと、線を引きすぎて見失うことがあります。
起きやすいのは、図の中の線が多い問題や、斜めの線が混ざる問題です。放置すると、複合図形に出会うたびに「その場の勘」で進み、再現性が上がりません。家庭では「足す?引く?」の一言で、整理の方向を子どもに渡せます。
⑤最後に「見直しの質問」を固定する
図形は、見直しの型があると点が安定します。おすすめは3つの質問を固定することです。①単位は合っている?②使った長さは合っている?③求めた量は問題と一致している?です。特に①は即効性があります。②は図の印が助けになります。③は「周りの長さを求めたのに面積になってない?」の確認です。
どんな学習状況で起きやすいかというと、問題数が多いテストや、時間が足りない状況です。見直しは気合いでは続きません。固定質問にすると、短時間で回せます。ここまで整えてもミスが残る場合、理解の穴というより演習不足であることもあります。そのときは、同じ型の問題を短時間で繰り返して、手順を体に入れていくのが自然な流れです。
まとめ
算数の図形公式は、暗記が大変というより「使い分けの整理」が難しい単元です。家庭で整えるときは、公式そのものを増やすより先に、①何の量(長さ・面積・体積)を求めるのか、②どの長さを使うのか、③単位は何か、をそろえることが近道になります。図形名にひもづけて覚えるより、求めたい形や見立てに注目すると、少し形が変わっても対応しやすくなります。
また、底辺と高さの取り方、単位換算、小数・分数が混ざる計算、途中式の残し方は、公式理解とは別のところで失点を生みやすいポイントです。ここを「手順」として固定すると、本人の頑張りが点につながりやすくなります。最後に、見直しの質問を固定しておくと、テストでも安定しやすいです。
図形は、理解の整理ができたあとに、同じ型で繰り返すことで強くなる場面も多い単元です。記事で整理しても、実際の問題で迷いが残るときは、どこで手順が飛んだのかを一緒に確認しながら、少しずつ「迷わない型」にしていくのがいちばん現実的だと思います。
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